富士の樹海を往く木曽馬の蹄音!紅葉台で挑む流鏑馬と和式乗馬
紅葉 台 木曽 馬 牧場の乾いた土を蹴り上げる鈍い蹄音(ひづめおと)が、森の静けさを鋭く切り裂いた。山梨県鳴沢村、青木ヶ原樹海の原生林と富士の裾野が交わる場所に、その拠点は静かに佇んでいる。サラブレッドが優美に跳躍する西洋近代の馬術とは全く異なる、どっしりと大地に根を張る武士の騎乗文化が、ここでは生きた呼吸として受け継がれている。
標高1000メートルを超える澄んだ大気の中、紅葉 台 木曽 馬 牧場の柵越しに見える馬たちは、背が低く胴回りが太い。日本古来の純血を守る彼らの姿は、かつて戦国乱世の荒地を駆け抜けた騎馬軍団そのものだ。観光乗馬の枠を軽々と飛び越え、本格的な武術体験へと旅人を誘う現場の熱気をお伝えする。
大河ドラマの騎馬武者を支える技!青木ヶ原樹海を駆ける日本在来馬の凄み
テレビの画面越しに観る迫真の合戦シーン。猛スピードで疾走しながら手綱を放し、弓を引く武将たちの足元を支えているのは、実はこの牧場で鍛え上げられた馬たちだ。数々のNHK大河ドラマや時代劇映画において、本格的な騎射・合戦シーンの撮影協力を一手に引き受けてきた実績を持つ。
現代の競馬場で目にする外来種は、時速60キロ以上で平坦な芝を走るために改良された品種に過ぎない。対して、青木ヶ原樹海のごつごつとした溶岩帯や急峻な山道を苦もなく踏み破るのは、小柄で強靭な日本在来馬だけだ。足首が太く、重心が極めて低いため、険しい山岳地帯でも決して踏み外さない。劇中で役者たちが魅せる激しい馬上アクションも、この驚異的な安定性があって初めて成立している。
小柄ながら驚異の安定感!日本馬事協会も注目する木曽馬の真価
日本国内に現存する在来馬はわずか8種。その中でも本州唯一の固有種として知られるのが木曽馬だ。絶滅の危機を乗り越え、現在は日本馬事協会などの保全活動を通じて血統が厳格に管理されている。体高はおよそ130〜135センチメートル。大人の胸元ほどの高さしかない。
「乗ってみれば分かります。揺れがまるで違う」
スタッフの言葉通り、鞍上に跨がると不思議な安心感に包まれる。背幅が広く平らなため、腰を据えたときのフィット感が抜群なのだ。性格は極めて温厚で辛抱強い。人懐っこい瞳でこちらの気配を伺い、初心者が不慣れな合図を出しても苛立つことなく、どっしりと受け止めてくれる。富士山麓の厳しい寒暖差にも耐え抜く強靭な生命力は、日本の風土が生んだ生きた文化遺産といえる。
的に矢を放つ緊張と爽快感!鳴沢村で極める本格的な流鏑馬と和式乗馬
この牧場を唯一無二の存在にしている最大の要素が、伝統的な和式乗馬と流鏑馬(やぶさめ)の本格指導だ。西洋馬術が「手綱を短く持ち、脚(きゃく)で馬腹を圧迫してコントロールする」のに対し、和式乗馬は「手綱をゆるやかに片手で扱い、乗り手の重心移動と腰の据わりで馬と対話する」。
鎧兜を身につけて戦った武士の身体操作がそのまま息づいている。鐙(あぶみ)を長く踏み、膝を柔らかく使って立つ姿勢「立ち透かし」をマスターすれば、馬上での揺れは驚くほど相殺される。
的に向かって疾走しながら矢を番え、弦を引き絞る流鏑馬コースでは、張り詰めた緊張感が広場を包む。放たれた矢が乾いた音を立てて的を射抜いた瞬間、体中に走る高揚感は何物にも代えがたい。鳴沢村の澄み切った風の中で体験するこの古流武術は、単なるアクティビティを超えた精神鍛錬の領域に達している。
2026年最新情報!混雑を回避する予約の裏技と初心者向けコース詳細
富士周辺のアウトドア需要が高まる現在、同牧場の体験枠は争奪戦が激化している。特に週末や観光シーズンは数週間前から予約が埋まることも珍しくない。そこで、混雑を賢く避けて贅沢な時間を手に入れるための裏技を明かそう。
狙い目は平日の早朝枠(午前9時台スタート)だ。朝霧が立ち込める樹海は幻想的で、馬たちの集中力も最も研ぎ澄まされている。さらに、季節の変わり目である初夏や晩秋の平日午後遅めのスロットも穴場となっており、富士山に沈む夕日をバックにした絶景トレッキングを独占できる可能性が高い。
初めて訪れる旅行者には、以下のステップが用意されている。
・体験引き馬コース:牧場内をスタッフが引いて歩く。未就学児や完全な初心者向け。
・基本レッスンコース:馬場内で停止、発進、方向転換、軽速歩(けいはやあし)の基礎を徹底習得。
・和式騎射・流鏑馬入門コース:地上での弓の扱い方から始まり、馬場内で実際に騎射に挑む本格派。
・外乗ホーストレッキング:基本レッスンをクリアした者だけが許される、樹海深部への冒険ルート。
事前予約時に公式案内をよく確認し、動きやすい服装(ジーンズとスニーカー、長めの靴下)を整えておくことが、当日スムーズに限定体験を満喫するための秘訣だ。
原生林の息吹を肌で感じる!富士山麓ホーストレッキングが変える乗馬ツーリズム
馬場での基礎レッスンを終え、いよいよ柵の外へ踏み出す瞬間。蹄が落ち葉を踏みしめるサクサクという乾いた音が、森の奥へと続いていく。富士山麓の溶岩樹型やコケに覆われた倒木が織りなす青木ヶ原樹海のパノラマは、馬の背の上から見上げると全く新しい表情を見せる。
歩行目線より1メートル以上高くなるだけで、視界を遮っていた低木の上を突き抜け、原生林の奥深くまで見渡すことができる。馬の温もりとリズミカルな振動が太ももを通じてダイレクトに伝わり、乗り手自身の五感が研ぎ澄まされていく感覚だ。
近年、国内各地で注目を集める乗馬ツーリズムだが、富士の自然遺産と古来の馬文化をこれほどダイナミックに融合させたロケーションは他にない。自然を消費するのではなく、馬というパートナーと共に森と一体化する体験が、多くのリピーターを引きつけてやまない理由だ。
歴史の鼓動と走る特別な一日へ!限定特典を活用した旅の心得
牧場を訪れる際は、馬への敬意と森への配慮を忘れてはならない。木曽馬は非常に繊細な感覚を持っているため、背後から急に近づいたり、大声を出したりする行為は厳禁だ。カメラのフラッシュも馬を驚かせる原因となるためオフにしておく必要がある。
現地では、騎乗後の馬たちに大好物のニンジンを与えるふれあい時間や、手入れを間近で見学できる特別な機会も用意されている。汗を流したパートナーの首筋を撫で、温かい息遣いを感じるひとときは、騎乗中と同じくらい贅沢な記憶として心に刻まれるはずだ。
大自然の静寂と、日本在来馬が刻む確かな足音。日常の喧騒から完全に切り離された鳴沢村の森で、かつての武士たちが見たであろう景色の中へ、手綱を握って踏み出してみてほしい。 (出典: 紅葉 台 木曽 馬 牧場(Yahoo!ニュース))